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あいち熊木クリニック院長熊木徹夫の精神科無双夢想 ~<あいち熊木クリニック>開設、その後~
院長である精神科医の熊木徹夫と、建築家の筧清澄が、 臨床と建築に対するそれぞれのこだわりを、余すところなく出し尽くす場としてのブログです。


プロフィール

熊木&筧

  • Author:熊木&筧
  • 熊木 徹夫

    2007.07「あいち熊木クリニック」開設


    筧 清澄
    1968 06 10
    1998 筧建築設計開設

    筧建築設計
    名古屋市中村区下米野町3-29
    k-kakehi@za2.so-net.ne.jp
    TEL/FAX 052-451-9976



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『僕は殺されたんだ、父に復讐してほしい』
こんにちは、あいち熊木クリニックの熊木です。

「あいち熊木クリニック」のご紹介



Q:外国に在住している日本人です。

現在幻聴と思われる症状があり
ご相談させていただきたく思います。

私は35歳女性、現在カナダ在住です。

こちらで開業医の先生からお薬をもらい、
同時にカナダ人の心理学者の先生の
英語でのカウンセリングを受けています。

一度精神科にも診てもらったのですが、
何となく真剣に話を聞いてくれていないような気がしてしまって、
2回診てもらっただけで、辞めてしまいました。

今回幻聴がひどくなった気がするので、
他の先生を紹介してもらいたいと開業医の先生にお願いしましたが、
カナダでは精神科に見てもらうには2-3ヶ月またなければならず、
まだ診てもらっていません。

幻聴の内容ですが、1年半前に流産を経験し、
その子供の声が聞こえてきます。

流産当初は特に聞こえなかったのですが、
その約一年後にその相手(子供の父親、オランダ人です)
からそのことを否定され、
無視され続け始めてから、症状が出ました。
(それまでは彼に話していませんでした。)

妊娠中病院へいけなかったのは、
子供の父親が主人ではないのがわかっていたからです。

また妊娠に気がついたときには、
相手の方は既に家族を裏切ってしまっていることを
とても後悔しているのがわかっていたので、話を切り出せず、
症状からして切迫流産だと思ったので、
そのまま黙っていようと決心しました。

流産したときも自分としてはほっとした気持ちの方が強く、
その時は特に死んだ子供に対しての
罪悪感なども感じていませんでした。

ただうつのような状態になってしまうことが多くなりました。

その後しばらくしてから彼とは完全に別れて、
お互いに家庭へ戻る約束をし、
自分としては全て忘れて一からやり直そうと思っていました。

しかし、その直後に不倫について
脅迫めいた嫌がらせを受け取るようになりました。

それを相手に相談したのですが、無視されてしまいました。

また仕事に関しても同じオフィスをシェアしたりしていたのですが、
そこからいきなり追い出され、
預けてたお金などもそのままになってしまいました。

それらが重なったため、
それまで張り詰めていた糸が切れたようになってしまったのです。

辛い思いに耐え、相手のことだけを考え、
流産の件を隠していた自分が馬鹿だったのだと思い、
これまで考えていたことを手紙で書き送りましたが、
何の返事もありませんでした。

その時は、お金欲しさのあまり、
彼自身が私に嫌がらせしているのだと思ったので、
彼に対してとても攻撃的になってしまいました。

しかしその後、しばらくしてお金は戻ってきました。

また知人から聞いた話では、
彼も同様に嫌がらせを受けていたそうで、
結局私が間違っていたことがわかったのですが。

その頃から時々、死んだ子供の声が
聞こえるような気がするようになりました。

自分は殺されたんだ、父親がいないのは寂しい、
父親に復讐してくれ、
一人で寂しいから私もこっちにきて
一緒に居て欲しいとか聞こえてきます。

そのこと以外にも、仕事の面で彼からサポートを受けていたため、
仕事におけるダメージも大きく、
この半年間は建て直しのストレスもかなり大きかったと思います。

今では、安心できるところまで仕事面では回復したのですが、
無視されている、否定されているという思いが
いつまでも頭に残っています。

またオフィスがすぐ近くであるため、
道ですれ違ったりすることは避けられず、
そのたびに物凄く怒りを感じ、同時に深い悲しみに襲われ、
吐きそうな気分になることもあります。

仕事の場所はタイです。
一昨年までそちらに住んでおりました。

仕事の関係で付き合いのある人たちが重複してしまっています。

彼の奥さんから「私が彼を追い回し、
妊娠したと嘘をついて困らせている。
仕事上の付き合いをしている場合はやめたほうがいい」
といった内容の中傷のメールなどがあちこちに送られ、
とても困っているのですが、
それを辞めさせてくれるよう彼にお願いしても、
全く返事はありません。

私の方からはよく事情がわからないのですが、
人づてに聞いた話では、
彼本人は彼の奥さん(台湾人です)が
私から嫌がらせを受けていると思っているようなのです。

実際には、彼女にそのようなことは一切していないのですが。
(お金を返してくれるようお願いしたことと、
嫌がらせをやめてくれるようメッセージをしたことはあります)

とにかく何も話してはくれないので、
向こうに何が起きているのかもわかりません。

ただ私から奥さんへの”嫌がらせ”は、
私がノイローゼになってしまったためだと思われているようです。

自分の家庭の方は、この件だけが原因ではないのですが、
離婚となりました。

(主人は、カナダ人です。

離婚で私が家を出なくてはならないのですが、
一人娘を置いていかなくてはいけないので、
そのことでもとても参っています。

一年後に私が引き取る約束ですが、
本当に渡してもらえるのかとても不安です。

また私がいない一年間に、
日本語が話せなくなってしまったりするのではないかと
恐れています。

この先、娘がどんどん遠ざかっていってしまうような気がします。

それから話は複雑なのですが、これまでここで話してきた嫌がらせ、
実は私の主人と彼の奥さんが一緒につるんでやっているとしか
解釈できないことが多くあるのです。

この点については、私だけの思い込みではなく、
私の知人数人の見解の一致するところです。

まあ、どちらにも恨まれて当然であることも十分承知していますので、
このことは辛くとも耐えてゆけると思います)

心理学者の先生からは、
”原因となった相手と話をして、
心の痛みを分かち合ってもらうことのみが、
唯一短期的治療としてできること。

あとは抗うつ薬を服みつづけて20年もたてば、
やがてはすべてを忘れて、幻聴も聞こえなくなるだろう”
と言われました。

私の幻聴は原因があまりにもはっきりしているので、
精神病として取り扱う種類のものではないとの見解です。

最初に診てもらった精神科の先生も同じ意見でした。

ただ頼んでみても無視され続けるのはわかっているので、
流産の時の診断書(流産後に残留物がないか検査行っただけですが)や
精神科医からの幻聴に関する診断書を渡したらどうかとの
アドバイスを受けています。

けれどもこれまでの経過から、
そこまでしてもきっと無視されてしまうでしょうし、
そうなるとかえって症状がひどくなるような気がするのです。

そのような状況ですので、カウンセリングで言われたように、
原因となっている部分へ立ち返って、
それを一度私の心の中で、
きちんと死んだ子供のために父親と共に葬ってあげる、といったことは、
とても不可能ではないかと思います。

でもそれをしない限り、いつまで経っても幻聴が消えないことを思うと、
いっそ人生のすべてを今ここで投げ出してしまったほうが
楽になるような気もするのです。

(先生はそれは幻聴ではなく、
自分の罪の意識が作り出しているだけのものだ、
とおっしゃっています)

先月出張し、私の新しいオフィス
(数ヵ月後には私もそこへ引っ越します)の近くに
彼らが住むことになっていることがわかり、とてもショックでした。

今後毎日のようにすれ違うことになるかと思うと、
こころ穏やかでおれず、
今よりも症状が悪くなってしまうのではないかと不安です。

それが原因かどうかわかりませんが、
この2週間、幻聴のおこる回数が増したように思います。

1週間前からZyprexaという薬をもらって飲んでいますが、
特に効果はない気がします。

それ以外に現在医師より、
Talohexalという抗うつ薬を毎日服むように言われています。

このTalohexalは数ヶ月飲んでいます。

自分としてはうつになる時間が減ったようには思います。

お伺いしたいのは、
私の症状から統合失調症などの精神病になってゆく
可能性もあるのかということです。

統合失調症では、幻聴がメインの症状だと聞きました。

最初に診て頂いた精神科の先生には、
統合失調症とは全く別のタイプのものだから、
治療は原因を取り除くことに限ると言われました。

そして、お薬も出されませんでした。

いわゆるPTSDのようなものだと言われました。

この病名をインターネットなどで調べてみましたが、
戦争などの極端な体験をした人がかかる病気となっていますので、
自分ではそれは違うのではないかと思っています。

ただ幻聴の主因となっているはずの相手に
誤解されたままであることの悲しさ、
そして子供を見殺しにしまったことへの罪悪感は、
今後つのるばかりではないかと思うのです。

それが影響して、精神病に移行していったり
することもあるのでしょうか?

精神科的には、このような症状は
ただのショックから来る一時的な症状で、
長い時間が経てば治るものと考えていいのでしょうか?

それとも相手の認知が得られない場合、
ずっと症状が続いてしまうのでしょうか?

この点、どのようにお考えになられますか?

いまのところ、離婚や引越し・仕事の建て直しなど、ほとんどの面で、
事は良い方向に向かっていると感じています。

それなのに、幻聴だけが悪くなっているというのがとても心配です。

あまりにも不可解な話で、
自分でもすべてを分かっているわけではないので、
言葉で説明するのも難しいのですが、
日本語で相談できる精神科の先生に
ぜひアドバイスを頂きたいと思い、メールさせていただきました。

よろしくお願いします。

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A:<1;”倫理”や”罪”を臨床の現場で問うことの難しさ>


今回のご相談では、再三”罪悪感””罪の意識”
という言葉が出てきます。

日頃臨床に携わっていて、
”倫理”とは何か、”罪”とは何かということについて、
一介の精神科医が意見を述べることの難しさを痛感しています。

しかし、避けて通ることのできない問題であることもまた事実です。

患者さんの、ひいては人間の生き方についてあれこれ言うのは、
医師のなかでもとりわけ精神科医において特異的な事柄です。

私がこのようなご相談を受けたなら、
どのような”道”を指し示そうとするか、
お答えしてみたいと思います。


ご相談の中には、実に多く、かつ多国籍の”登場人物”がいますね。

そして各々の思いや利害が複雑に入り混じっています。

そこで最初に、各々の”登場人物”について考えてみましょう。


<2;渡る世間は鬼ばかり・・・?>


まず、あなたに不倫され、あなたとの離婚に至ったご主人について。

この不倫だけが離婚の原因ではないとのことですが、
一人娘の”綱引き”が今後展開されていきそうな気配。

あなたが不在である間に、この一人娘が
あなたがこれまでに教えてきた日本語を
しゃべれなくなるのではと心配されています。

また、オランダ人の彼の奥さんとあなたのご主人がつるんで、
”彼との間の子を妊娠したと吹聴している”という中傷メールを
あちこちに送っているというような奇怪な事態!

これが事実であるならば、
あなたのまわりの人間関係は錯綜としたもので、
全くとりとめがありませんが、まあこれは置いておきましょう。


それにしても、肝心なご主人のパーソナリティがよくわからない。

あなたからのこのような”仕打ち”(不倫のことです)に恨みを募らせ、
仕返しを果たそうとしているのは、うなずけない話ではありません。

(あなたも<恨まれて当然であることも十分承知していますので、
このことは辛くとも耐えてゆけると思います>といわれていますね)

でもあなたの不倫を知り、取り乱したのか、
はたまた気弱に笑みを浮かべたのか、
そこのところがよくわかりません。

(おそらく後者なのでしょう。

あなたのお話から類推するなら、
このご主人の怜悧で狡猾なさまが思い浮かびます。
しかしこれも定かではありません)


そして、あなたとつきあいのあったオランダ人の彼。

<妊娠に気がついたときには、
相手の方は既に家族を裏切ってしまっていることを
とても後悔しているのがわかっていたので、話を切り出せず、
症状からして切迫流産だと思ったので、
そのまま黙っていようと決心しました。>

あなたがそのような配慮をされたにもかかわらず、
それが”あだ”となるような事態に巻き込まれます。

<その直後に不倫について
脅迫めいた嫌がらせを受け取るようになりました。

それを相手に相談したのですが、無視されてしまいました。

また仕事に関しても同じオフィスをシェアしたりしていたのですが、
そこからいきなり追い出され、
預けてたお金などもそのままになってしまいました。>

この期に及んで、なしのつぶて。

彼は、妊娠・流産の事実を目の当たりにしても、
その事実を否認し、あなたに何の同情も寄せようとしません。

<辛い思いに耐え、相手のことだけを考え、
流産の件を隠していた自分が馬鹿だったのだと思い、
これまで考えていたことを手紙で書き送りましたが、
何の返事もありませんでした。

その時は、お金欲しさのあまり、
彼自身が私に嫌がらせしているのだと思ったので、
彼に対してとても攻撃的になってしまいました。>

確かに彼の薄情さは尋常ではありません。

この彼をたとえひとときでも愛したあなたが、
とても気の毒に思えてきます。

そして遂には、死んだ子供の声が聞こえてくるようになります。

”自分は殺されたんだ、父親がいないのは寂しい、父親に復讐してくれ、
一人で寂しいから私もこっちにきて一緒に居て欲しい”と。
(この幻聴については後に詳述します)

まあ、うなずけない話ではありません。


最後に、彼の台湾人の奥さんについて。

<彼の奥さんから
「私が彼を追い回し、妊娠したと嘘をついて困らせている。
仕事上の付き合いをしている場合はやめたほうがいい」
といった内容の中傷のメールなどがあちこちに送られ、
とても困っているのですが、
それを辞めさせてくれるよう彼にお願いしても、全く返事はありません。

私の方からはよく事情がわからないのですが、人づてに聞いた話では、
彼本人は彼の奥さん(台湾人です)が
私から嫌がらせを受けていると思っているようなのです>

最初に”嫌がらせ”を始めたのは誰なのか。

相手の奥さんは、あなたが先だと思っているようだし、
あなたから見ると、順序が逆のようでもある。

問題はこのような”混線”が生じた原因は、
どうやら彼にありそうだということ。

彼が自ら犯した”不始末”について、
自分の奥さんに詳細を知らせず(あるいは誤魔化し)、
あなたを悪者に仕立てたようであることが予想できます。

そこに、<それから話は複雑なのですが、
これまでここで話してきた嫌がらせ、
実は私の主人と彼の奥さんが一緒につるんでやっているとしか
解釈できないことが多くあるのです>
というのが事実であるとするなら、
まさに”渡る世間は鬼ばかり”、
あなたは救われようがないことになります。


<3;その幻聴は、子供の苦しみの名を借りた、あなたからの呪詛の言葉>

それにしても、いつもいつも被害者であるあなた、
あなたには問題がないのでしょうか。

<妊娠に気がついたときには、
相手の方は既に家族を裏切ってしまっていることを
とても後悔しているのがわかっていたので、話を切り出せず、
症状からして切迫流産だと思ったので、
そのまま黙っていようと決心しました。

流産したときも自分としてはほっとした気持ちの方が強く、
その時は特に死んだ子供に対しての罪悪感なども
感じていませんでした。

ただうつのような状態になってしまうことが多くなりました。

その後しばらくしてから彼とは完全に別れて、
お互いに家庭へ戻る約束をし、
自分としては全て忘れて一からやり直そうと思っていました>

この時点では、彼との関係はあなたにとって麗しき思い出で、
あなたは悔恨の情にとらわれることはなかったようです。

しかし流産の事実を、流した子供の父親である彼から否定され、
あなたが無視されるようになったあたりから、
”自分は殺されたんだ、父親がいないのは寂しい、父親に復讐してくれ、
一人で寂しいから私もこっちにきて一緒に居て欲しい”
という幻聴が出てくるようになります。


症状の出方は、本人が規定することはできませんから、
出方の良し悪しなどを論じることはできませんが、
私は個人的には、この症状にあまり”感情移入”することはできません。

このような言い方は、精神医療の専門家の云いとして
相応しいものではないのかも知れませんが、
どうしても”惻隠の情”というものが湧いてきません。

専門家なら、どのような精神疾患や精神症状にも全力を尽くす必要があると
お考えになるかもしれませんが、
私は、治療者の”価値判断”が
その”疾患”の予後をある程度左右することはやむなし、と考える者です。

私は臨床の現場で、
”これは死ぬほど苦しいだろう。
何の因果で、この人はこれほど苦しまねばならぬのか”
と、同情を禁じえぬ場面に多々遭遇します。

その一方で、”その程度の苦しさを大げさに言い立てるとは、
少し我慢が足りないのではないか。
救済者側の私の現状の方が、きっとよほど苦しい”
などと感じることもままあります。


この感じ方の違いは、その疾患の重篤さのみが、
基準となるものではありません。

その患者さんの境遇・生き方・人生観などから
複合的に捉えた判断です。

もちろん、この判断の正否に絶対の自信があるわけではありません。

これはいわば、”相性”のようなものかもしれません。

私の場合でいうなら、統合失調症の苦しみに
比較的シンパシーが働くように思います。

しかし、統合失調症の患者さんには無条件に優しいのではありません。

概していうなら、自己陶酔の強い患者さんのその”酔い”に対しては、
冷淡です。”勝手にすれば”と思うこともあります。

その”酔い”を斟酌せずとも、彼らは”死なない”でしょう。

それに対して、患者さんに強い切迫感があり、
”今目の前にいる私が助けなくては誰が助けるのだ”という義侠心が
湧き出してくるような場合には、
本当に緊急を要するものと思っています。

そこには、患者さんにも治療者の私にも、
”酔い”など入ってくる余地はありません。

このような状況にこそ、
精神科医という存在は”処方”されるべきものでしょう。


ところで、あなたの幻聴という症状ですが、
厳しくいうなら、それは”都合のいい症状”とでも
いうべきものでしょう。

あなたのまわりのエゴイストなら、あなたもエゴイストです。

<先生はそれは幻聴ではなく、
自分の罪の意識が作り出しているだけのものだ、
とおっしゃっています>とありますが、本当にそうでしょうか。

その幻聴は、子供の苦しみの名を借りた、
あなたから近親者に対する呪詛の言葉であって、
あなたの子供の無念をあらわしたものではないように思います。

これはPTSDに似たものではないと思います。

トラウマとは、不可抗力の状況で受けた外傷をさすもので、
あなたが加担して作ったこの状況をトラウマティックと呼ぶのは
少し解釈が親切すぎます。

また統合失調症とは、やはり似て非なるものです。

統合失調症の幻聴は、大抵の場合、”自我違和的”なものであって、
「死ね」「おまえはどうしようもないバカだ」などといった
その人の実存を深く傷つけ脅かすものです。

今後、このような形には”発展”していくことはないでしょう。


<4;あなたは簡単に救済されない方がいい>


ではどうすればいいのか。

私はこのような苦しみは、簡単に救済されない方がいい、と考えます。

このたびあなたが、人間の”原罪”に触れたとするなら、
その苦しみをあまんじて受け、徹底的に苦しみぬくこと、
そうでないと、いま心理の先生から与えられている
”お為ごかしの慰撫”だけでは決して解消しきれない何かが、
時を経て再燃することになるでしょう。


<心理学者の先生からは、
”原因となった相手と話をして、
心の痛みを分かち合ってもらうことのみが、
唯一短期的治療としてできること。

あとは抗うつ薬を服みつづけて20年もたてば、
やがてはすべてを忘れて、幻聴も聞こえなくなるだろう”
と言われました>

<ただ頼んでみても無視され続けるのはわかっているので、
流産の時の診断書(流産後に残留物がないか検査行っただけですが)や
精神科医からの幻聴に関する診断書を渡したらどうかとの
アドバイスを受けています>

この心理の先生のアドバイスにも、疑問が残ります。

抗うつ薬を服むのはいいとしても、
20年もたたなくては効果がないような話をされていること、
(通常、1ヶ月もすれば効果が出てきますし、
それで効果がなければ、増薬・変薬を試みます)
また20年服んだあかつきには、
晴れてすべてこころのわだかまりが拭い去れて、
幻聴もなくなるということですが、
抗うつ薬において、このような長期的効果は説明されていません。

まあ”ひぐすり(日薬)”ということがいいたいのでしょうが、
あまり根拠にない話のように感じます。


それから、心の痛み
(先述したように、この言葉を軽々しく使うべきでないとは思いますが)
を分かち合える相手がいないあなたの現状は、
確かに少し厳しいものです。

しかし、流産の時の診断書や精神科医からの幻聴に関する診断書を携えて、
彼の元に行くという行為は、決して現実的なものとはいえないでしょう。

またこうすることのみが、
果たして唯一の短期的治療となるか、疑わしいところです。

(症状を緩和するだけなら、もっといろいろな方法があると思います。

ただし、ここで症状を取り去り、
”喉元過ぎれば熱さ忘れ”るのであれば、
こういうやり方は、あなたの人生において
取り返しのつかないマイナスになるのではという危惧は、
これまでに申し上げたとおりです)

いずれも、あまり”スジ”のいい回答とはいえません。


<5;求められるのは、悩みぬいた果ての”祈り”>


まあそれはともかく、悩みぬいたあなたが辿り着く果ては?

日本に昔からある慣習に”水子供養”というものがあります。

ご存知のとおり、何らかの事情で
この世に生を受けることが適わなかった”子”たちを弔い、
その”子”と関わった”親”たちが
精神の安寧を得ようとするものです。

必ずしも”水子供養”のかたちをとる必要はありませんが、
やはり”祈り”の気持ちというものが大切だと思います。

(”水子供養”を便宜的に用いて、後腐れなく何の葛藤も抱えず
やり過ごしてしまうカップルもいるようですが、
これは”水子供養”の本来的な用い方でないのは
いうまでもないでしょう)


ここまで、かなり厳しいことを話してきました。

責められるべきはあなただけではないかもしれません。

しかし、どこの国へ行っても、どこの国籍の人と接していても、
清い魂の持ち主には、自然清い魂が触れ合いを求めてくるものです。

あなたが居住まいを正すことで、
これまであなたの回りにいたような
薄情な人々の”権謀術数”に嵌められるようなことは二度となくなる、
私はそう信じています。


熊木徹夫(あいち熊木クリニック<精神科医・漢方医>)
あいち熊木クリニックのサイト:http://www.dr-kumaki.org/
臨床感覚の広場のサイト:http://www.dr-kumaki.com/
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